東京高等裁判所 昭和28年(う)972号 判決
被告人 宮内信一 外
〔抄 録〕
次に論旨はその第三点、第七点等において改正された刑事訴訟規則第四十四条において従来公判調書の必要的記載事項から審理を公開したこと、検察官が起訴状を朗読したこと、起訴状の朗読が終つた後被告人の権利を保護するため必要な事項を告げたこと及び被告人保護のための権利を説明したこと等の事項を削除したことは裁判の民主化に逆行し国民の人権を危くするものであり、裁判所の規則制定権の濫用であるから前記改正規則は憲法に違反し無効であると主張するけれども刑事訴訟規則第四十四条は被告事件の処理を適正且つ迅速に行うという刑事訴訟法の目的に添うため公判調書の簡易化をはかり、その必要的記載事項を最小限度に止めたにすぎないのであつて、公判手続を省略したわけではなく、これらの点につき公判審理中において弁護人及び被告人の異議の申立を認め且つ右の申立は公判調書の必要的記載事項とされているのであるから、被告人の権利保護にかけるところはなく、またその手続の違背は公判調書以外のものによつて証明することも許されているのであるからなんら憲法および刑事訴訟法の精神に違反するところはないというべきである。以上説示の如く原審公判手続には所論の如き違法の点は存しないから論旨はいずれも理由がない。